『ワンストップ対応』を考える
こんにちは、石岡です。
前回のブログで、『お客様目線』を無視した、高額な見積り作成を批判させて頂きました。
今回は、弊社の見積り作成プロセスを紹介するために、
『ワンストップ対応』について考えてみたいと思います。
一応説明させて頂きますと、
ワンストップ対応というのは、複数の手続きもしくは業務、案件などの窓口を
一本化する事を指します。
行政手続きやお客様の問合せの窓口を一本化するのも、
ワンストップ対応の一つです。
さて、私の本業である内装工事関連でも、
ワンストップ対応という言葉が踊っています。
これを私の言葉で翻訳すると、
『あなた様の工事、全部ウチでやらせてくださいm(__)m』
…となります。
まあ、ウチも『ワンストップ対応』という言葉は使っていませんが、
内装工事全般お任せくださいとホームページ内で謳っている以上、
ワンストップ対応致しますと言っているのと同じですね。
さて、
なぜこの内装業界やオフィス周りの業界が、こぞってワンストップ対応を始めたのでしょうか?
答えは簡単です。
日本の景気が悪いからです。
日本の経済規模がどんどん小さくなっている中、
つまり、よくある例えではありますが、
皆で分け合う一枚のピザの大きさがどんどん小さくてなっていく中で、
売上を上げる為に出来ることは2つだけ。
自分に与えられるピースの大きさを大きくする、
つまりは業界内のシェアを増やす。
あと一つは、
別のピザにも手をつけることだけです。
目の前にある皿の小さなピース一枚で満腹にならないから、
別の皿の一枚の取り分を、別な人と奪い合うということです。
(蛇足ですが、日本の経済が長年成長し続けてきたというのは、まやかしです。近年の日本の経済成長率は、世界的にとても低いのですよ。先進国の中では日本1人負け状態です)
そりゃあ確かに、ウチだって売上は上げたいです。
そういう意味でのワンストップ対応をしている面もあります。
でも、ウチが内装工事やオフィス移転、開設のワンストップ対応に力を入れ始めた理由は、
まずは、石岡鋼建という『パーテーション屋』を、お客様に知っていただくためです。
別に自慢する訳ではありませんが、
ウチは『仙台 パーテーション工事』のようなワードで検索すると、
常に上位で検索されます。
ただ…
そもそも、『パーテーション』というワードで検索する方があまりいない。
それに、パーテーション工事をするタイミングは、
大抵はリフォーム、要は改修、
オフィス移転や開設のタイミングがほとんどです。
ですから、上記のワードでも対応出来ないと、お客様と出会う機会が無いのです。
正直に言いますが、
ウチの会社のサービスで、一番競争力があるのは、
当たり前ですがパーテーション工事です。
初めに述べた通り、ワンストップ対応のお客様のメリットとは、「簡略化」です。
発注窓口を一つにする事によって、お客様自身の事務作業や社内手続きを楽にする事が、最大のメリットでしょう。
また、一社に依頼をまとめる事によって、値段交渉をしやすくするという側面もありますね。
デメリットは、値段交渉をしやすくなるとはいえ、
個別で良心的な専門業者に依頼するよりも多少なりと高くなりがちだということです。
ということは…
ワンストップ対応のメリットにあまり興味が無いお客様に、
ワンストップ対応を押し売りするのは、いかがなものでしょうか?
例えば僕が、壁紙張替や天井のペンキ塗り替え、タイルカーペットやOAフロアなんかの全ての見積依頼を頂いたとします。
その際に、僕は必ずこう伝えます。
「こちらの項目の一部分、パーテーションだけのご依頼でも構いません。
相見積りを取って、お客様が満足して頂けた工事だけで結構です。」
…と。
それで当然だと、僕は思います。
「あなたに全てお任せしたい!」とお客様の方から言っていただけたのならともかく、そうではない状況だったら、
「とにかくぜひ、弊社に全てお任せください!よろしくお願いします!m(__)m」
…という台詞は、石岡語に翻訳すると、
「少々高い買い物する代わりに楽できますから♪僕を一杯儲けさせて下さいな♪」…となってしまいます。
僕は、パーテーションを欲しいと言われたら、
先ずは本当にパーテーションが必要なのか伺う事から始める事もあります。
僕は、一部の消防法関連の手続き代行も、工事と併せて有料で行う事もありますが、ネットで調べれば誰でも出来ますよと説明します。
頼まれてもいない手続き代行料を見積もることはありません。
僕は、お客様が、ウチの元請を望まない限り、
サイン工事や看板工事、什器の販売や引越しなどは、『紹介』で対応しています。
だって、これらの工事内容だと、電話やメールで連絡役をするぐらいしか、僕には出来ることがありませんから。
長くなりましたから、そろそろまとめます。
『ワンストップ対応』で、品質、価格、納期の全てにおいて、
お客様に心から満足して頂いて、
「大変ありがとうございました。またよろしくお願いしますね」
…と言って頂くのって、正直むちゃくちゃ難しいと思うのです。
工事というものは、着手してから初めて気付くような事が多々あります。
簡単な現場ばかりではありません。
突発的なトラブルが発生する事も珍しくありません。
これは、請け負う企業の規模に関係無く、有り得る話です。
予算、下請けとの信頼関係、内装工事に関する知識…
内装工事におけるワンストップ対応というのは、
色々な事が求められる話です。
それこそ、私が言うのも何ですが、本来はゼネコンに依頼するのが一番安心と言えるでしょう。
価格の話を抜きにすれば、ですけど。
僕は、内装工事一式を請け負う際は、いつも以上に細心の注意を払います。
なるべくギリギリの見積りを作成するので、大きな想定外の一撃で赤字に転落してしまいます。
ワンストップ対応を美辞麗句で飾る、他社のホームページを見ていると…
本当に大丈夫なのかな?と疑問に思うのです。
自分もそんな風にお客様に思われてはいけないという、
戒めと共に。