正直でいるための条件
こんにちは、石岡です。
今日は、僕がまだ10代で修行中だった頃、親方に言われた台詞やエピソードを書きたいと思います。。
もう20年以上前の話なので、時効でしょうから書きます(笑)
僕がこの業界に入った頃、親方の会社(当時は法人ではなく、個人事業主でしたが)には、親方含め数人の先輩がいました。
ですが、当時は一人前に仕事が出来る職人は親方だけでした。
10年以上のキャリアがある先輩もいたのですが、失礼ながらいつまでたっても半人前。
未経験者である僕がいきなり、業者間の打ち合わせを任されたぐらい。
そんな状態でしたから、ちょっと忙しくなるとすぐにパンクしていました。
そんなある日の朝、親方に言われました。
「おい、石岡。お前、ちょっと今日の客に電話しろ」
「はい。どんな話ですか?」
「車が故障して、今日は行けなくなったって言え」
「…嫌ですよ、そんなウソつくの。」
すると、親方はムッとしながら僕に言いました。
「だったらその現場、お前が終わらせてこい。オレは別の現場に行かなきゃならないんだから」
「…無理です、親方抜きで僕一人でなんて…」
「いいか、お前が正直で嘘をつきたくないって事は、素晴らしいことだと思う。でも、現実にオレが行くのが不可能で、お前も行きたくないっていうのなら、嘘ついてでも断るしかないだろう。」
「…」
「世の中、キレイ事だけで済む訳じゃないんだ。口だけなら何とでも言える。現実、お前は仕事が出来ないのだから、嘘でも何でもつくしかないだろうが。」
「…わかりました…」
一応断っておきますが、親方は誰よりも働いていました。
僕が一人前になるまで、
盆正月もロクに休めず、晩酌を始めた後も、自宅まで押し掛けてきたメーカーの営業に連れられ、急な夜間工事を無理矢理やらされたり、自分の親の葬式の時ですら、休む事を許されなかったとも話していました。(時代が違うとは言え、昔は無茶苦茶ですね…)
当時の僕にとっては、身内や仲間同士の些細なウソならまだしも、外部の人に嘘をつくのは、精神的に大きな負担でした。
…今は嘘つきみたいな言い方ですね(笑)
そして現在。
たまに言われます。
「石岡さん、独立して何でも1人でこなして、責任も負って、大変でしょう。雇われの方が楽じゃないですか?」
僕はいつも、こう答えます。
「確かに体はシンドイですけどね。気持ちは楽ですよ?だって、全て自分で段取りして、自分で決められますから。三浦(弊社WEB担当)も手伝ってくれるし。」
そのあと、こっそり心の中で付け加えるのです。
「嘘つかなくてもいいしね」と。
<おまけ1>
今の僕も、当時の親方ほどではありませんが、「多忙」という意味では、まあまあブラックです(笑)
でも、親方の事を思い出せば、辛いとは思いません。
親方とは、ブラックのレベルが違い過ぎますから(笑)
<おまけ2>
僕はブラックですが、ウチの従業員はホワイトですよ?
嘘だったら、そのうち三浦がブログで告発すると思います(笑)